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ことばの成長を支える「動詞の力」

更新日:2023年12月17日



名詞と動詞の出現


子どもが はじめて話す ことば は、

「ママ」「わんわん」「アンパンマン」「くつ」「ばなな」など、身近な人や物の名前(名詞)であることが多いですよね。名詞は習得しやすい傾向があります。


「目の前にある物(人)」であれば、

「頭の中のイメージ=ことば」と 「目の前にある物(人)」が 同じかを確認しやすいからです。


ことばの発達 

1語の発語 から、「動詞の表現」などが加わり、2語文や3語文へ ことばが育ちます。


2語文、3語文をしゃべり始めると、子どもが言いたいことが大人に分かりやすくなります。この時期は子どもの成長をぐんと感じます。


この頃の動詞は、「食べる」「寝る」「あった」といった日常生活に関わる動詞が出現します。子どもは、視覚、聴覚、触覚など、さまざまな感覚を通じて「目の前のこと」や「自身が体験していること」について 語彙を獲得していきます。


そして、動詞の獲得は、名詞より難しい面があります。



動詞を理解することが難しい理由


・動作のどこから始まって、どこでおわりなのか はっきりしない

・状況によって語尾が変化する(過去形、進行形)

・「歩いている犬」など、名詞とくっついた表現(名詞句)

・「行く・来る」のように、立場でことばが変わる


動詞は「動きを表現することば」であり、

動いてしまうと 目の前の形から変化して なくなってしまいます。

意味をとらえるのが難しいのです。


「目の前の動き」をとらえるのに1つ目のハードルがあり、

「目の前の動き」=「ことば」と 結びつけるのに、二つ目のハードルがあります。


頭の中では、とても複雑な作業をしています。複雑な作業を乗り越えて、動詞が出現します。すごいことなんです。



オノマトペや身振りの力

オノマトペは、物事の状態や動きを 音で表現したものです。

そして、動詞の理解を助けるのに、オノマトペや身振りが役に立ちます。


「動詞を学ぶのにオノマトペ?」「幼児語にもどるのか!?」と思われるかもしれません。


幼児にとっても、児童生徒にとっても、

オノマトペは、動詞の意味を理解するのに とても役に立つツールです。

どのように役立つのでしょうか。



ことばがでる頃


オノマトペ とは、

例えば「チョキチョキ」とか「バリバリ」といった擬態語や擬音語が該当します。

チョキ チョキ」「バリ バリ」など「音の繰り返し」が特徴です。


大人が「チョキチョキ、するよ」と言いながら、身振りで手を動かします。

子どもは「チョキチョキ」を聞きながら、手の動きやハサミを見ます。


「チョキチョキ」という語は、リズムがよく、2回繰り返すことが多いです。子どもには、 聞き取りやすい語です。ハサミを切る動作を「チョキチョキする」と理解していきます。


この時期は、相手に伝える、表現しようとする「意欲」がとても大切です!「チョキチョキ」を言い始める子もいれば、身振りで「チョキチョキ」を表現する子どももいます。



オノマトペをいれて声をかける

そろそろ成人語「切る」を獲得する頃


「チョキチョキする」に慣れてきたら、

「切る」という動詞をつなげ、「チョキチョキ 切るよ」と声をかけましょう。


ポイントは、「チョキチョキ」と「切る」をセットで表現することです。


繰り返し経験することで、

「チョキチョキする」状況と「切る」がつながり、「チョキチョキ」=「切る」を獲得していきます。



さらに多くの語彙を深める頃


オノマトペは、小学生にも効果的です。


例えば、

「さかながおよぐ」と「さかなが スイスイおよぐ」では、どちらが魚の様子を より詳しくイメージできますか。


「さかながスイスイ泳ぐ」の文章は、魚が生き生きとした印象を与えることができます。

オノマトペを使うことで 動作の様子を より詳細に伝えることができますね。


また、

基本的な動詞「食べる」について

「食べる」の類義語には、

「かじる」「すする」「なめる」などがあります。


上位概念の「食べる」でも表現できますが、「かじる」「すする」などの語彙は

さらに詳細な様子を含んだ動詞になります。


ことばで説明すると、

「かじる」は「歯で固いもの少しずつ噛む」

「すする」は「吸うようにして口に入れる」


ことばだけの説明では、動きのあるイメージが伝わりにくいです。「かじる」「すする」の「イメージ」を理解するのはなかなかハードルが高いです。


下記はオノマトペをいれた文章です。

文章は動詞の意味がわからなくても、名詞が食べ物であることから、「食べる」に関することだとわかります。


・せんべいを バリバリ かじる

・お蕎麦を ズルズル すする 

・キャンディーを ペロペロ なめる  


「バリバリ」「ズルズル」など擬音語、擬態語のオノマトペが動詞の前にくっつくと、様子が理解しやすくなります。


「おせんべいを バリバリ 食べる」様子のことを「かじる」

「おそばを ズルズル 食べる」様子のことを「すする」など

 知らない「動詞」であっても、イメージを想像することができます。想像したイメージと、知らなかった「語彙」が結びついて、新しい語彙を獲得していきます。




オノマトペを意識してみよう


大人は、会話の中で意識せずにオノマトペを使っています。今度は子どもとの会話で、意識して使ってみてはいかがでしょうか。大人が意識すると子どもも意識していきます。

オノマトペカードを遊びに加えてもいいですね。


オノマトペの教材 ことばを育てる、言葉が豊かになる
おすすめ教材

おすすめの教材

ゲーム的にカードをゲットする遊びにすると楽しいです


・「ことばを育てるオノマトペカード」 制作・発行 まちとこ(写真左)

・ことばがでる前のお子さんも遊べます

・いっしょに 身振りをしながら「ねこを なでなで〜」

・大人がジェスチャーを見せて、子どもがカードを選択する


・「話し言葉・書き言葉が豊かになるオノマトペ絵カード」 発行 合同出版(写真右)

・年長、小学生におすすめです

・絵カードを見ながら 「魚が スイスイ・・・」と続く動詞を当てる

・「スイスイ」を使うとどんな文になる?

・複数絵カードから、「スイスイ」の様子のカードを選択する


オノマトペや身振りを通じて、動詞の意味や動作のイメージをより明確にすることができます。子どもたちのことばの成長をサポートする大切なツールとなるでしょう。

ことばの成長を支える「動詞の力」を育てましょう。






 
 
 

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